大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋地方裁判所 昭和49年(わ)1561号 判決

本籍

名古屋市中区門前町六一六番地

住居

名古屋市千種区小松町七丁目二九番地

会社役員

上田春太郎

大正二年一月八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官野武興一出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月および罰金三、〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は名古屋市千種区小松町七丁目二九番地に居住し、株式会社中村商店の取締役をしているかたわら、株式の売買を行なつて収益をあげていたものであるが、所得税を免れようと企て、株式の売買等をするに当たり第三者または架空名義を用いる等して取引の実態は握は著しく困難ならしめ、あるいは取得株式の名義を分散するなどの不正な方法によりその所得を秘匿したうえ、昭和四七年分の実際の所得金額は一六七、六五六、七〇八円であり、これに対する所得税額は一一二、二五一、七〇〇円であるにもかかわらず、昭和四八年三月一五日名古屋市千種区振甫町三丁目三二番地の三所在千種税務署において、同税務署長に対し、所得金額は一、七五九、二六〇円で、これに対する所得税額は九九、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、正規の所得税額との差額一一二、一五二、七〇〇円の所得税をほ脱したものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、第一回公判調書中の検察官請求証拠目録(一)、同(二)(但し請求番号5ないし23を除く。)および同(三)の各証拠

(法令の適用)

一、判示所為につき 所得税法二三八条一項、二項

一、(刑種の選択と併科) 所定刑中懲役と罰金刑を選択し、併科する

一、(労役場の留置) 刑法一八条

一、(懲役刑の執行猶予) 同法二五条一項

一、(訴詮費用) 刑事訴詮法一八一条一項本文

(裁判官 高橋一之)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例